外国人雇用の助成金「72万円」は本当?2026年10月改正で最大25万円に【企業向け】

この記事のポイント

  • 「外国人雇用の助成金72万円」として紹介されることが多いのは、厚生労働省の人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)です。
  • 72万円は、令和6年4月1日現在の支給要領にある上限額(賃金要件を満たす場合、支給対象経費の3分の2)です。
  • 令和8年10月1日に支給要領が改正され、現在の支給額は20万円(一時帰国のための休暇制度も導入した場合は25万円)です。
  • 外国人を雇うだけで受けられる助成金ではなく、雇用労務責任者の選任と就業規則・社内マニュアル等の多言語化など、就労環境の整備に取り組むことが条件です。
  • どの版の要件が適用されるかは、就労環境整備計画を提出した日によって変わります。

どんな助成金か

外国人労働者は、日本の労働法制や雇用慣行などに関する知識の不足や言語の違いなどから、労働条件・解雇などに関するトラブルが生じやすい傾向にあります。この助成金は、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行い、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して助成するものです。

対象は、雇用保険の被保険者となる外国人労働者(特別永住者と、在留資格「外交」「公用」の方を除く)を雇用している事業主です。

「72万円」はどこから来たのか(支給額の移り変わり)

支給要領・パンフレットの版 支給額
令和6年4月1日現在の支給要領 支給対象経費の2分の1(上限57万円)。賃金要件を満たす場合は3分の2(上限72万円)
令和8年4月1日版のリーフレット 1つの措置導入ごと20万円(上限80万円)
令和8年10月1日の改正後(現在) 20万円(上乗せ措置を実施した場合は25万円)

厚生労働省のページでは、令和8年10月1日の改正の主な内容として「支給額を最大25万円に変更」と案内しています。インターネット上で「72万円」と紹介されている記事は、改正前の内容である可能性があります。

なお、パンフレットは就労環境整備計画を提出した時期ごとに分けて掲載されており、たとえば令和8年4月1日版は、令和8年4月1日〜9月30日に計画を提出した方向けとされています。これから計画を提出する方は、最新のパンフレットを確認するよう案内されています。

現在の支給要件(令和8年10月1日以降に計画を提出する場合)

必ず行う取組

取組 内容
① 雇用労務責任者の選任 事業所ごとに選任し、外国人労働者に、責任者の氏名と、責任者が苦情・相談に応じることを周知する。責任者が外国人労働者と3か月ごとに1回以上面談する。責任者が「外国人労働者雇用労務責任者講習」を受講する
② 就業規則・社内マニュアル等の多言語化 (1)就業規則または労働協約、(2)労働条件通知書または雇用契約書、(3)社内マニュアルを、それぞれ1種類以上多言語化し、外国人労働者に周知する

上乗せになる取組(任意)

取組 内容
③ 一時帰国のための休暇制度の整備 外国人労働者が一時帰国を希望した場合に必要な有給休暇を取得できる制度を新たに定め、1年間に1回以上、連続した5日以上の有給休暇を取得させる。就業規則または労働協約に明文化することが必要

支給額

実施した取組 支給額
①と② 20万円
①と②に加えて③ 25万円

離職率の目標

  • 就労環境整備計画期間の末日の翌日から6か月経過するまでの期間の、外国人労働者の離職率が15%以下であること。
  • 外国人労働者数が2人以上6人以下の場合は、6か月経過後の外国人労働者の離職者数が1人以下であること。
  • 外国人雇用状況の届出(労働施策総合推進法)を適正に届け出ていることも必要です。

改正で変わった主な点(令和8年10月1日)

  • 「苦情・相談体制の整備」を廃止し、雇用労務責任者による苦情・相談対応を要件とする
  • 雇用労務責任者による面談を、離職率算定期間を含め、3か月ごとに1回以上の実施を要件とする
  • 外国人労働者雇用労務責任者講習の受講を要件とする
  • 「就業規則等の多言語化」と「社内マニュアル・標識類等の多言語化」を統合
  • 講習の受講証明書を提出した場合の離職率要件の免除規定を廃止

申請の流れ

手順 内容
1. 計画の作成・提出 就労環境整備計画を作成し、本社の所在地を管轄する都道府県労働局へ提出(計画期間は3か月以上1年以内)
2. 措置の導入 計画にもとづいて取組を導入
3. 措置の実施 導入した取組を計画どおりに実施
4. 支給申請 計画期間の末日の翌日から6か月経過した日の翌日から2か月以内に、都道府県労働局へ提出
5. 支給 助成金の支給
  • 書類は決められた期限内に提出する必要があり、郵送の場合は期限までに到達するよう、余裕をもって提出するよう案内されています。
  • 令和8年10月の改正後の支給要領にもとづく申請は、改正に対応した電子申請(雇用関係助成金ポータル)の受付が準備中のため、申請書類をダウンロードして、管轄の労働局へ持参または郵送で提出するよう案内されています(受付再開時期は厚生労働省のページで案内予定)。
  • このほかにも、雇用関係助成金に共通する要件などがあります。詳しくは都道府県労働局の助成金窓口に確認します。

企業が検討するときのポイント

※ここからは、上記の公式資料をもとにした当サイトの分析です。

  1. 金額より「職場定着の仕組み」として考える:現在の支給額は20万円〜25万円です。責任者の選任・定期面談・多言語化は、助成金がなくても外国人社員の定着に役立つ取組です。
  2. 計画は取組を始める前に提出する:流れのとおり、計画の提出が最初の手順です。
  3. 届出の状況を確認する:外国人雇用状況の届出を適正に行っていることが要件のため、雇用に伴う届出の確認表で漏れがないか確認しておきます。
  4. 古い情報に注意する:「72万円」「上限80万円」などの記載を見かけたら、何年の情報かを確認し、必ず厚生労働省の最新のパンフレットで確かめます。

外国人雇用の手続き全体は外国人雇用の基本ガイド、届出の詳しい方法は外国人雇用状況の届出とはをご覧ください。具体的な手続きは、都道府県労働局の助成金窓口、または社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

参照資料

最終確認日: 2026-10-24

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