特定技能の受入れ機関になるには【企業向け】基準・義務・支援計画・人数枠・届出

この記事のポイント

  • 特定技能は、生産性の向上や国内人材の確保に取り組んでもなお人材の確保が難しい特定産業分野に限って、一定の専門性・技能を持つ即戦力の外国人を受け入れる在留資格です。
  • 受入れ機関には、雇用契約・機関・支援体制・支援計画の4つの基準があります。
  • 特定技能1号の外国人には、支援計画を作って支援を行う義務があります。支援の全部を登録支援機関に委託することもできます。
  • 受入れ機関の人数枠はありません(介護分野・建設分野を除く)。労働者派遣は農業分野と漁業分野のみ認められます。
  • 受入れ後は、出入国在留管理庁への随時の届出と、毎年の定期届出(4月1日〜5月31日)が必要です。

特定技能とは

特定技能1号 特定技能2号
対象 特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務 特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務
在留期間 3年を超えない範囲で指定される期間ごとの更新。通算で上限5年(相当の理由がある場合は6年) 3年、2年、1年または6か月ごとの更新(更新回数に制限なし)
受入れ機関による支援 支援の対象 支援義務なし
分野 19分野 11分野

特定技能1号の分野は、介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、物流倉庫、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業、資源循環です。リネンサプライ、物流倉庫、資源循環は令和8年1月に追加された分野で、物流倉庫と資源循環は準備が整い次第、運用開始の予定です。

受入れ機関の基準

基準 例
1. 外国人と結ぶ雇用契約が適切 報酬額が日本人と同等以上
2. 機関自体が適切 5年以内に出入国・労働法令違反がない
3. 外国人を支援する体制がある 外国人が理解できる言語で支援できる
4. 外国人を支援する計画が適切 生活オリエンテーションなどを含む

支援の全部を登録支援機関に委託すれば、3の「支援する体制」の基準も満たすものとみなされます。

受入れ機関の義務

  1. 外国人と結んだ雇用契約を確実に履行する(例:報酬を適切に支払う)
  2. 外国人への支援を適切に実施する(登録支援機関への委託も可)
  3. 出入国在留管理庁への各種届出を行う

これらを怠ると、外国人を受け入れられなくなるほか、出入国在留管理庁から指導、改善命令などを受けることがあります。

支援計画(1号特定技能外国人支援計画)

受入れ機関は、特定技能1号の外国人が活動を安定的かつ円滑に行えるよう、職業生活上・日常生活上・社会生活上の支援の計画を作り、計画にもとづいて支援を行わなければなりません。支援計画は、在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請などの際に、ほかの申請書類と一緒に提出します。

支援の10項目

項目 主な内容
① 事前ガイダンス 申請前に、労働条件・活動内容・入国手続・保証金徴収の有無などを、対面・テレビ電話などで説明
② 出入国する際の送迎 入国時に空港などと事業所・住居の送迎、帰国時に空港の保安検査場までの送迎・同行
③ 住居確保・生活に必要な契約支援 連帯保証人になる・社宅を提供するなど。銀行口座や携帯電話、ライフラインの契約などの案内・補助
④ 生活オリエンテーション 日本のルールやマナー、公共機関の利用方法や連絡先、災害時の対応などの説明
⑤ 公的手続等への同行 必要に応じ住居地・社会保障・税などの手続の同行、書類作成の補助
⑥ 日本語学習の機会の提供 日本語教室などの入学案内、日本語学習教材の情報提供など
⑦ 相談・苦情への対応 外国人が十分に理解できる言語での対応、必要な助言・指導など
⑧ 日本人との交流促進 自治会など地域住民との交流の場や、地域の行事の案内・参加の補助など
⑨ 転職支援(人員整理等の場合) 受入れ側の都合で雇用契約を解除する場合の転職先探しの手伝い、推薦状の作成、求職活動のための有給休暇の付与など
⑩ 定期的な面談・行政機関への通報 支援責任者などが外国人とその上司などと3か月に1回以上面談し、労働基準法違反などがあれば通報

登録支援機関への委託

  • 受入れ機関は、支援計画の全部または一部の実施を、ほかの者に委託できます(支援委託契約)。
  • 登録支援機関は、出入国在留管理庁長官の登録を受けた機関で、登録の期間は5年間です。登録支援機関は、委託を受けた支援業務を、さらに委託することはできません。

人数枠と雇用の形

項目 内容
受入れ機関の人数枠 人数枠なし(介護分野、建設分野を除く)
労働者派遣 農業分野と漁業分野のみ認められる
在籍型出向 航空分野と鉄道分野のみ認められる
採用の方法 受入れ機関が直接海外で採用活動を行うことや、国内外のあっせん機関などを通じて採用することが可能

技能実習・育成就労には常勤職員の総数に応じた人数枠がありますが、特定技能(1号)は、介護分野・建設分野を除き人数枠がありません。なお、特定技能1号には、分野ごとに受入れ見込数(上限)が設定されています。

協議会への加入

  • 分野所管省庁が分野ごとに設置する協議会への加入が義務付けられています。
  • 建設分野・工業製品製造業分野では、協議会の設置に加え、分野所管省庁の登録を受けた法人(登録法人)への加入も必要です。
  • 協議会では、法令遵守などを定める「行動規範」の策定が進んでおり、違反すれば除名などもありうる仕組みとなっています。

地域の共生施策への協力

受入れ機関は、外国人が活動する事業所の所在地と住居地が属する市区町村に対し、地方公共団体から共生施策への協力を求められた場合に必要な協力をする旨の「協力確認書」を提出します。初めて特定技能外国人を受け入れる場合は、雇用契約を結んだ後、在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請を行う前に提出します。

受入れ後の届出

受入れ機関による届出の不履行や虚偽の届出は、罰則の対象です。

届出 主な内容
随時の届出 特定技能雇用契約の変更・終了・新たな契約の締結、支援計画の変更、登録支援機関との支援委託契約の締結・変更・終了、受入れ困難時、基準不適合
定期の届出 対象年の4月1日から翌年3月31日までの受入れ・活動・支援実施状況を、翌年4月1日から5月31日までに提出
  • 定期届出では、受入れ総数、活動日数・場所・業務内容、報酬の支払状況、離職者数、行方不明者数、受入れに要した費用の額、相談内容と対応結果などを届け出ます。
  • 支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託した場合は、受入れ機関と登録支援機関が連名で届け出ます。

外国人本人の主な要件

  • 18歳以上であること
  • 技能試験と日本語試験に合格していること(技能実習2号を良好に修了した外国人は免除)
  • 特定技能1号で原則通算5年以上在留していないこと
  • 保証金を徴収されていないこと、または違約金を定める契約を結んでいないこと
  • 自らが負担する費用がある場合、その内容を十分に理解していること

企業が検討するときのポイント

※ここからは、上記の公式資料をもとにした当サイトの分析です。

  1. 自社の業務が分野・業務区分に当たるか確認する:分野ごとに業務区分と試験が決まっています。まず分野所管省庁の情報で、担当させたい業務が対象かを確認します。
  2. 支援を自社で行うか委託するかを決める:10項目の支援を外国人が理解できる言語で行う体制がなければ、登録支援機関への全部委託を検討します。
  3. 協議会・協力確認書の手続きを先に確認する:申請前に必要な手続きがあるため、受入れのスケジュールに組み込みます。
  4. 定期届出を年間予定に入れる:毎年4月1日〜5月31日に届け出ます。届出の不履行は罰則の対象です。
  5. 2027年の育成就労制度の開始も踏まえる:育成就労制度は特定技能1号の水準の人材の育成を目的としています。育成就労制度の解説もあわせてご覧ください。

外国人雇用の手続き全体は外国人雇用の基本ガイドをご覧ください。特定技能の制度は分野ごとに異なる点が多く、変更も続いています。受入れの可否や手続きは、出入国在留管理庁や分野所管省庁の最新の情報を確認し、地方出入国在留管理官署または専門家にご相談ください。

参照資料

最終確認日: 2026-10-24

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