この記事のポイント
- 「技術・人文知識・国際業務」(技人国)で働くには、学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的能力を必要とする業務に従事することが必要です。
- 「未経験可、すぐに慣れます。」と求人に書くような業務は、対象になりません。
- 採用する人の専攻と業務の関連性(または実務経験)と、日本人と同等額以上の報酬が求められます。
- 入社当初の実務研修は、日本人の大卒社員にも同様に行われ、在留期間の大半を占めないものであれば、認められる場合があります。
- 2026年4月15日に、翻訳・通訳など言語能力を用いる対人業務についての考え方が公表され(10月14日に更新)、CEFR・B2相当の言語能力が前提とされました。
技人国とは
在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、日本の公私の機関との契約にもとづいて、次のような業務に従事する活動のための在留資格です。
| 区分 | 業務の内容 | 例 |
|---|---|---|
| 技術 | 理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術・知識を要する業務 | 自然科学には、理学、工学のほか、農学、医学、歯学、薬学などが含まれます |
| 人文知識 | 法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術・知識を要する業務 | 人文科学には、法律学、経済学、社会学のほか、文学、哲学、教育学、心理学、史学、政治学、商学、経営学などが含まれます |
| 国際業務 | 外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務 | 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝、海外取引業務、服飾・室内装飾のデザイン、商品開発など |
- 「契約」には、雇用のほか、委任、委託、嘱託なども含まれますが、特定の機関との継続的なものでなければなりません。
- 「国際業務」は、単に外国人であるだけでなく、日本国内の文化の中では育てられないような思考・感受性にもとづく、一定水準以上の専門的能力を要する業務であることが必要です。
できる仕事・できない仕事の考え方
対象にならない業務
- 求人の採用基準に「未経験可、すぐに慣れます。」と書かれるような業務
- 学歴や実務経験の要件を満たしていない日本人従業員が、一般的に従事している業務
活動全体で判断されます
技人国に当たるかどうかは、在留期間中の活動を全体としてとらえて判断されます。技人国に当たる業務が活動全体のごく一部で、残りが特段の技術・知識を要しない業務や、反復訓練で従事できる業務である場合は、技人国に該当しないと判断されます。
入社当初の実務研修
採用当初の実務研修として、飲食店での接客、小売店の店頭販売、工場のライン業務など、それだけを見れば技人国に当たらない業務を行う場合でも、次のような場合は、相当性を判断したうえで認められています。
- 日本人の大卒社員などにも同様に行われる実務研修の一環であること
- 在留期間中の活動を全体としてとらえて、在留期間の大半を占めるものではないこと
ここでいう「在留期間中」とは、1回の許可ごとの在留期間ではなく、雇用契約書や研修計画などから想定される、技人国で在留する期間全体を意味します。
- 例:期間の定めなく常勤で雇用された人が在留期間「1年」を決定された場合、その1年間すべてを実務研修に充てることも想定されます。
- 例:雇用契約が3年間のみで更新予定もない場合に、採用から2年間を実務研修とする申請は認められません。
- 採用から1年を超えて実務研修を行う申請は、研修計画の提出を求められ、研修期間の合理性が審査されます。
許可・不許可の事例(出入国在留管理庁の公表資料より)
許可された例
- 本国で工学を専攻して大学を卒業した人が、ソフトウェア会社との契約にもとづき、月額約35万円の報酬で、ソフトウェアエンジニアとしてコンピュータ関連サービスに従事するもの
- 本国で経営学を専攻して大学を卒業した人が、食料品・雑貨などの輸入・販売会社との契約にもとづき、月額約30万円の報酬で、本国との取引業務での通訳・翻訳業務に従事するもの
- 本国で自動車工学を専攻して大学を卒業した人が、自動車メーカーとの契約にもとづき、サービスエンジニアとして自動車の点検・診断など関連知識にもとづく判断を要する業務に従事するもので、採用後のキャリアステッププランが示されているもの
不許可になった例
- 教育学部を卒業した人が、弁当工場で弁当の箱詰め作業に従事するとして申請 → 人文科学の分野に属する知識を必要とする業務とは認められない
- 工学部を卒業した人が、月額13万5千円の報酬でエンジニア業務に従事するとして申請 → 同時に採用された同種業務の新卒の日本人の報酬が月額18万円で、日本人と同等額以上と認められない
- 商学部を卒業した人が、海外取引業務に従事するとして申請 → 留学中に1年以上継続して月200時間以上アルバイトをしていたことが分かり、在留状況が良好と認められない
- 経営学部を卒業した人が、飲食チェーンの本社の管理者候補として採用されたとして申請 → 期間が決まらないまま数年間、店舗で接客や調理を経験し、選抜された人だけが技人国に当たる業務に就くキャリアステッププランで、一律に課される実務研修とは認められない
採用する人に求められる要件
技術・人文知識の業務の場合(次のいずれか)
- 業務に必要な技術・知識に関連する科目を専攻して卒業していること
- 大学(海外の大学を含む)・高等専門学校は、専攻科目と業務の関連性を柔軟に判断します。
- 専修学校は、原則として相当程度の関連性が必要です。ただし、文部科学大臣の認定を受けた専修学校の専門課程などを修了した人(認定専修学校専門課程修了者)は、関連性を柔軟に判断します。
- 関連性が認められた業務に3年程度従事した人は、その後の業務との関連性を柔軟に判断します。
- 10年以上の実務経験があること(大学などで関連科目を専攻した期間も含まれます)
国際業務の場合(次のいずれにも該当)
- 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝、海外取引業務、服飾・室内装飾のデザイン、商品開発などに従事すること
- 関連する業務について3年以上の実務経験があること(大学を卒業した人が翻訳、通訳、語学の指導に従事する場合は不要)
報酬
日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬が必要です。通勤手当、扶養手当、住宅手当など実費弁償の性格を持つもの(課税対象となるものを除く)は、報酬に含まれません。
2026年:翻訳・通訳など言語業務の考え方の明確化
出入国在留管理庁は、2026年4月15日に「翻訳・通訳業務等の言語能力を用いる対人業務に従事する場合の在留資格の明確化について」を公表し、10月14日に記載内容を更新しました。
- 主に言語能力を用いる対人業務などに従事する場合は、CEFR・B2相当の言語能力を持っていることが前提とされ、持っていない場合は「一定水準以上の業務」に従事するものとは認められません。
- 所属機関がカテゴリー3または4に当たる場合は、申請時に、言語能力を証明する資料の提出が必要です(カテゴリー1・2でも、審査の過程で提出を求められる可能性があります)。
日本語の場合、次のいずれかに当たればCEFR・B2相当と評価されます。
| 日本語能力の基準(いずれか) |
|---|
| JLPT(日本語能力試験)N2以上 |
| BJTビジネス日本語能力テスト 400点以上 |
| 日本留学試験(日本語)200点以上 |
| JPT日本語能力試験 525点以上 |
| 中長期在留者として20年以上日本に在留 |
| 日本の大学を卒業、または高等専門学校・専修学校の専門課程などを修了(専攻と業務内容に関連性がある場合に限る) |
| 日本の義務教育を修了し、高等学校を卒業 |
日本語以外の言語の場合は、その言語が本人の母国語または公用語であること、CEFR表示のある試験でB2以上が証明されていること、などで評価されます。
採用後も気をつけたいこと
- 受入れ停止:外国人への暴行・脅迫・監禁、旅券や在留カードの取り上げ、報酬の不払いなどにより、特定技能制度や技能実習制度で欠格事由の認定などを受けた機関は、受入れ停止期間中、原則として技人国の外国人を新たに受け入れることは認められません。
- 素行・届出:在留資格の変更の審査では、素行が不良でないこと(例:資格外活動許可の条件に違反して、恒常的に週28時間を超えてアルバイトをしていた場合は、素行が善良とはみなされません)や、入管法に定める届出などの義務を履行していることも考慮されます。
企業が採用前に確認すること
※ここからは、上記の公式資料をもとにした当サイトの分析です。
- 担当業務を具体的に書き出す:日々の業務の内容と割合を整理し、専門的な業務が中心になっているかを確認します。
- 本人の専攻・経歴と業務の関連を確認する:卒業証明書や成績証明書で専攻を確認し、業務との関連を説明できるようにします。
- 報酬を日本人と比べる:同じ時期に採用した、同じ業務の日本人社員と同等額以上かを確認します。
- 研修を行う場合は計画を用意する:日本人の大卒社員と同じ研修であること、期間が全体の大半を占めないことを、研修計画で説明できるようにします。
- 翻訳・通訳など言語業務が中心の場合は、言語能力の証明を確認する:JLPT N2以上などの資料を、採用前に確認します。
- 在留カードと届出:採用時の在留カードの確認と、入社後の届出も忘れずに行います。
留学生の採用は留学生を採用するときの手続きと時期(接客や現場の業務も含められる「特定活動(46号)」も解説)と留学生を新卒で採用するときの確認表、在留カードの確認は在留カードの確認方法(企業向け)と採用時の確認表、採用から退職までの全体像は外国人雇用の基本ガイドをご覧ください。個別の業務が技人国に当たるかどうかは、地方出入国在留管理官署または専門家にご相談ください。
参照資料
- 出入国在留管理庁「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」
- 出入国在留管理庁「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」(最終改定令和8年4月)(PDF)
- 同 別紙1「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で許容される実務研修について」(PDF)
- 同 別紙3「許可・不許可事例」(PDF)
- 同 別紙4「翻訳・通訳業務等の言語能力を用いる対人業務に従事する場合の在留資格の明確化について」(PDF)
最終確認日: 2026-10-24
